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ゴルゴ13よ、標的はアスペだ!

手のひらにくっきりと浮かび上がっている筋。痛みも感じない歪な形の手は子供並の握力しかなくペンしか持てない。

その、さいとう・たかをの手から生み出されるゴルゴ13。

40年以上連載されている日本で最も長い連載漫画である。ちなみにさいとうは一度も休んだことなく他の漫画を合わせると50年近く描き続けている。

そして、全巻を揃えた部屋を持つというこの漫画の愛読者の一人が麻生太郎元首相であるが、

文藝春秋2008年4月号・P280・(「ゴルゴ13」よ、標的は総理だ)で、さいとう・たかをと対談している。私は、この対談におけるさいとうの少年時代と日本社会に対する見解に衝撃を受けた。

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意外に思われるかもしれないがさいとうは現代でいうところのアスペルガーと呼ばれる子供の典型的なタイプだった。なんでもなぜ一+一が二なんだと考えているうちに授業が進んでしまったものだから九九をろくに覚えていないという。
兄にはカエルの尻にストロー入れて破裂させるのは残酷だというのにメザシの目を串刺しにするのは残酷ではないの?などとしつこく質問していては邪見にされていた。

何事も自分の頭で突き詰めて考える人間こそが天才の定義と言える。それを満たす環境があれば偉人になり、否定すれば社会不適応者として不遇の人生を送る。さいとう以外の漫画家にも似たような人が多いが、彼らは不遇の人生を送る者の中においては最大の成功者と言える。漫画家として成功して億万長者になれればむしろそっちの方がいいじゃないかと思う人も多いだろうが、それはとんでもない話で、所詮、漫画はたかが漫画とあえて言っておきたい。

ちなみに一+一がなぜ二になるのかについてはこちら

すわなち、さいとうは成功者とも幸せ者とも言えないわけだが、やはり家庭環境は天才児を育む環境とはお世辞にも言えない劣悪な環境だった。寝返りもうてないほどの貧乏な田舎町に生まれ、父親は散発屋だったが「自分は画家である」といってろくに働かずに妻子を残して出て行ってしまった。これが母に「男が絵なんて描くな」と言わせることになったようで、さいとうは絵の賞をもらってきても、褒められるどころか調子に乗るなとその絵を燃やされてしまった。友達にもいじめられ、授業に価値を見いだせず、学校の先生を怒らせては殴られた。

これではグレても仕方がない。中学に入ると校内一の不良になったようだ。しかし、ここに救世主が現れる。

当時、さいとうはテストをすべて白紙で出していたが、「なんでお前は答案用紙を書かないんだ?」と新人教師に問われた。

そんなもん。答えを丸暗記したら解けるクイズじゃないか。お前ら大人が勝手に決めたルールだろうが、だから書かない。」と答えるさいとうに対し

「お前の言い分は分かった。ただし名前は書け。白紙で出すという責任はお前が取らなくちゃいけない。それは大人も子供も同じだぞ。お前みたいな生き方をしていると常に後ろを気にしてなくちゃいけないぞ。ルールは従うものじゃない。守るものだ。」と諭された。

これで約束事を覚えていかないと生きていけないことを知り、社会性、社会の中での責任を考えるようになった。初めてさいとうのことを気にかけてくれる教師が出現し、何事も理詰めで考えるさいとうをある程度救ったわけだ。

その新米教師の名が東郷。東郷先生と出会う前のさいとうをモデルにしたのかどうかは分からないが、ルールが常に自分の中にあり一人では生きていけないけれども、こんな生き方ができたらいいなという思いからゴルゴ13ことデューク東郷が生まれた。

さいとうはその後も母から絵を描くな、散髪屋になれと言われ続け、デビューが決まった18歳の時に母は亡くなったが、最後まで絵を認められることはなかったという。このような不条理が存在するから、理不尽な殺し屋を描いているのだろう。生まれながらの悪は存在しない。

そして、大人になったさいとうの日本社会に対する見解は非常に参考になる。

「お上」が懇切丁寧にすべてのことを教えてやってきたために、日本人はみんな自分の頭で考えなくなってしまった。日本人はみんな、世界情勢について何か特別なことだという意識を持っています。要するに日本はものすごくうまくいっていた社会主義国家でしょう。今の日本では、人間は本来自分の価値観を持っていないと生きていけないはずなのに、それが全く必要なくなってきている。とにかくマニュアルに従っていきゃ生きていけますからね。

選挙のたびに政治家が繰り返す、あの「お願いします」という言葉はやめていただきたいですねえ。俺がやってやるから俺に入れろと言えばいいだけのことで、これは選挙権の持たせ方が問題なんですよ。やっぱり試験が必要じゃないですか。

もはや、普通の人を野放しにしておいてはうまく国が機能しないということをさいとうは体感してい生きているのである。

なお、理髪業界からゴルゴ13がどこの理髪店にも必ず置いてある という理由からチョキちゃん大賞を受賞。

これに対して「いやぁ、因縁だなぁと思いましたよ。」と語っている。

科学者、数学者、哲学者の世界でしか生きられないようなタイプの人間が漫画の世界に救いを求めていることは日本特有の現象かもしれない。個性排除を美徳とする日本が、個性こそがすべての漫画の世界を生み出した。自然のことではないだろうか。なお、ガンダムの作者の富野由悠季も本当は技術者になりたかったと語っている。

ちなみに、私はゴルゴ13をすべて読んだわけではないがこれまで読んだ中で印象に残っている物語の一つにコミック146巻の「ブーメランを持つ女」がある。非常に短い話だが、砂漠に一人住む女性がなんとも異端というかとにかく狂おしく忘れられない。

ゴルゴ13についてまとめたゴルゴ学やさいとうたかをの自伝も出ているので、今後もできるかぎり目を通しさいとう・たかを研究を続けていきたいと思っている。

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参考資料 わたしが子どもだったころ
.01 2010  さいとうたかを・漫画家 comment2 trackback0

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斎藤隆夫(さいとうたかを)
これからも応援ヨロシク♪




(^-^)/
2012.05.02 03:05
藤家孟志(ふじいえたけし)
応援していきますよ~
2012.05.04 09:57

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藤家孟志(ふじいえたけし)

Author:藤家孟志(ふじいえたけし)
アスペルガー問題を研究している一般の男です。

この研究を基に、アスペルガーの世界に迷い込んでしまった人を一人でも多く普通の世界に連れ戻すことができたら幸いです。

何かありましたら  fuzietake@gmail.com  までよろしくです。

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