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精神医学はいい加減が当たり前

私がよく聞かれることの一つに

アスペルガーの子供は将来どうなるんですか?

というのがある。

あまりに分かりにくく、非日常的な世界なので説明しづらい、あるいは説明しても意味がないことも多いのでこの漫画を紹介することにしている。

ブラックジャックによろしく (9) (モーニングKC)ブラックジャックによろしく (9) (モーニングKC)
(2004/07/23)
佐藤 秀峰

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医療をテーマにした社会派漫画として知られる、ブラックジャックによろしく9~13(精神科編)において、非日常の精神病棟の世界の様子を分かりやすく描かれている。

研修医の主人公の斉藤と、新聞は精神障害者に対する偏見を変えられないと嘆き自ら閉鎖病棟に住み込み取材を続ける一風変わった新聞記者の門脇を中心に物語が展開していく。
その第9巻「ありがちな主張」では、精神科に入院することになった統合失調症の息子を持つ母親が登場するのだが、現実世界でもありふれた、統合失調症患者とその親、そして精神科医のあまりに不毛なやり取りを生々しく描いている。

母親「ごめんね。泣かないって決めて来たのに・・・いいのよあなたは何も心配しなくて・・・まだ誰にも言ってないから。」
精神科医「お母さん。何度も言っていますが統合失調症というのは単なる病気です。できれば実家に戻られて近くの病院に通院して・・」
母親「あの子は本当にいい子だったんです。すごく真面目で勉強もできて、優しくて本当にいい子だったんです。
精神科医「病院に長期入院すると結果的に社会で生活する能力を失ってしまいます。早期退院は社会復帰へのカギなんです。」
母親「お願いします。あの子の将来を考えたらここにいるほうが幸せなんです。ウチは近所が皆、顔見知りの田舎なんです。私はあの子がかわいいです。だけど・・・いろいろ言う人もいますから・・・」

主人公「先生。お母さんが息子を想う気持ちに嘘はないはずです。だけどそれは自分の感情を押し付けてるだけで・・・近所の人に色々言われるから言えないというのは嘘です。言わないという選択をしたのはあのお母さんです。」

患者「どうして泣くのお母さん。どうして僕のことを誰にも言わないの。僕が恥ずかしいのお母さん。僕なんていないほうがいいんだ。」

統合失調症はつい最近まで精神分裂病と言われていたもので、精神医学の世界で最も重要なものと言える。

世界各国で100人に1人が発症する病気とされているが、これと合わせて二大精神疾患とされる双極性障害(以前は躁うつ病と呼ばれていた)などと厳密な分類ができるものではないし、何かと適当な分野なので、実際はもっと多いだろう。

息子のことを想う気持ちは誰にでもある。それは自分の子供に暴行を加える親、自分の子供とセックスする親、自分の子供に労働や犯罪を強要する親にも存在する。そして、アスペルガーのレッテルを求める親にも存在する。つまり、生物、とりわけ人間であれば、親が自分の子供を想う気持ちは普遍的で当たり前のことなので特筆すべきことではない。

親に本当に求められることは、子供が生きるため、生きていくために必要な何かを、親の権限を用いて提供する実力だ。

現実には、その権限やプライドを持っていても実力を兼ね備えていないことも多い。むしろ、そういう親の方が多いのかもしれない。
結論から言えば、その実力の無い親の犠牲になった者に対して妄想だの幻覚だの自己中心的だのと言いがかりをつけて統合失調症で一蹴するのが精神科医の主な社会的な仕事である。だから、精神医学、精神科医自体にその責任があるわけではない。本当の問題は実力のない親が存在することだ。

現代日本には、子供のうちから精神科のお世話になっている、なんとかなるとは到底思えない子供が全国的に増えているが、その子供達の多くは統合失調症者として一般社会から葬られてしまうだろう。残酷なことを言っているかもしれないが、これが現実である。

そして、興味深いのは、その犠牲になり精神医学の世界に足を踏み入れることになる者の中に、割合、知的な能力に秀でた者が多く存在することだ。難関大学に合格する者、難関資格を持つ者も多い。

天才は涙ぐましい努力により持って生まれた才能を開花させて一般人から尊敬と憧れの対象として自立するか、才能を開花させることができずに精神医学の世界に葬りさられるか、基本的にはこのどちらかしかない。中間は存在しない。そして、必ずしも、試験を突破する能力だけが先天的な知的能力ではないことを意味する。だから難解かつ大問題なのだ。

もっとも、とりわけ現代日本では、精神医学の世界のお世話になるのは天才だけではないから難しいのだが、それにしても精神医学ほど適当なものも珍しい。
昔は内科はなんでも知っているけど何もできない、外科は何も知らないけどなんでもできる、精神科医はなんにも知らないし何もできないというジョークがあったそうだが、そんな精神医学についてちょっと考察していきたい。

私が初めて精神障害の類の単語に出会ったのは小学生の頃に繰り返し見ていたドラえもんの映画で当時はさほど気にすることなく、落ち込んだり、がっかりしている人に対する呼び名ぐらいの感覚で済ませたと記憶している。
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大山のぶ代、小原乃梨子 他

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ドラえもん・のび太の大魔境では、旅の行き詰まりの責任を感じて投げやりになって部屋にこもってしまったジャイアンに対してスネ夫が「あの態度、嫌だね男のヒステリーって」と言っている。

ヒステリーはかつて子宮の病気によって生じる婦人病と考えられていたため、ギリシャ語で子宮を意味するhysteriaから命名されたものだが、現在はほとんど使われなくなってきている。
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同じくドラえもん のび太と竜の騎士では、同じくスネ夫が恐竜を目撃してしまい動揺する自分自身を「僕、ノイローゼ。僕みたいに心がデリケートな人はすぐに神経が疲れるんだ。」と言っている。なお、この作品の前半にはノイローゼという単語が繰り返し使われている。

これもヒステリーと同じく現代ではほとんど聞かない単語になった。

一昔前のことだが、雅子様の適応障害と朝青龍の解離性障害がワイドショーで取り上げられたことや、うつ病に代表される精神医学用語のレッテル張りが一種のブームのように身近になったことが主な原因と考えられる。精神医学は世間からの敷居はかつてのものとは比べ物にならないほど低くなったのだ。

しかし、精神医学とその用語ほどよく分からないものはない。ヒステリー、ノイローゼ、適応障害、解離性障害、うつ病は一体何がどう違うのだろう。そもそも人間を対象することが主体の医学というもの自体が科学とは言えないところがあり、その中でも精神科などというのは非科学もいいところなのだ。

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(2000/07/19)
ハーレイ・ジョエル・オスメント、ブルース・ウィリス 他

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この物語は市長からその功績を表彰されたブルースウイルス演じる児童精神科医が、皮肉にも自身のかつての患者に「僕を治せなかったじゃないか」と恨まれ、銃で撃たれてしまうシーンから始まる。
その後、もう一人の主人公がハーレイ・ジョエル・オスメント演じる死者と通じ合える特殊な能力を持った少年と出会う。撃たれた患者の少年時代にそっくりのこの少年を救うことで自分も道が開けると必死になり互いに導かれていく。

少年は事情を知らない母親とも学校の教師ともうまくいっていなかった。死者を通じて学校が絞首刑を行っていたとを知る少年が、先生に「化け物」と言われてしまうシーンは、天才児の扱いに悩む日本の教育現場を見ているようだ。化け物は障害児と置き換え可能だ。

基本的に精神科医のお世話になる者は自分に自信がないことが大半だが、その自己が破壊されるか否やの何事にも変え難い緊迫した状況におけるオスメントの切実な演技はいつ見ても感心してしまう。彼は当時、天才子役として騒がれ、後にニューヨーク大学に進学した。

この作品はホラー映画に分類されているが、児童精神科医と天才児の成長、特殊な能力を持った者がその扱いに苦悩する様を表現しているという点、また天才子役俳優という視点からも十分楽しめる。

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(2008/03/19)
りょう、内田有紀 他

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クワイエットルームとは女子専用の精神病棟の中にあり、人に迷惑をかけたり自殺したりしないように患者を一時的に拘束しておく保護室のこと。この作品の患者達からそう言われている。アホなことが大好きな内田由紀演じるダメダメ女がわけあってそこにたどり着いてしまう。そして、2週間に及ぶ閉鎖病棟での個性的な患者達との生活が始まる。
その中に食事を取らない二人の女性が登場するが、一人は絵とピアノに秀でているという割とよくあるパターンで、もう一人は「私が一食、食べた分世界のどこかの価値のある誰かの食事が一食減るんだ。そのシステムに気づいてしまったから私は食べられない。私が食べないのは意味のあることなんだよ。」という気難しいタイプ。農業経済学あたりをやらせたら凄まじい才能を発揮することは間違いないだろう。その持って生まれた知的才能を使いこなすことができないからおかしくなってしまうのである

精神病棟という特殊な空間とそこの住人達の特徴をうまく捉えていて、コメディを織り交ぜて分かりやすく表現している。こんなところのお世話になるものかと奮起してもらえれば幸いだ。

参考資料 

狂気(ロイポーター)
.01 2010  精神医学2 comment1 trackback0

comment

ノムラマサカツ
一風変わった新聞記者さんと、精神科病棟のトップの医者?が、最後に握手を交わす処が印象に残っています。

あの、生きにくい生き方をあえて選ぶ、あの2人 も、斉藤も、、、空気にあらがう人。

そう言う人間へのレッテル張りとして、kyや、アスペがあるような気もします。
2015.04.19 05:46

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プロフィール

藤家孟志(ふじいえたけし)

Author:藤家孟志(ふじいえたけし)
アスペルガー問題を研究している一般の男です。

この研究を基に、アスペルガーの世界に迷い込んでしまった人を一人でも多く普通の世界に連れ戻すことができたら幸いです。

何かありましたら  fuzietake@gmail.com  までよろしくです。

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