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天才にとって勉強とは

知的分野の英才教育の具体的な進め方を探っていきたい。

立花隆のすべて立花隆のすべて
(1998/02)
不明

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本書は知の巨人こと立花隆の本。田中角栄研究、日本共産党の研究をはじめ、宇宙、万能細胞など文理問わず幅広い分野に渡る知的好奇心は圧巻だが、その知の巨人は勉強法に関してどんなアドバイスをしてくれるのだろう。

P12の巻頭メッセージにおいていきなり明快な勉強法を教えてくれる。

「多年の勉強の経験からいうと、一般的に有効な勉強法というのはない。勉強は個性的なものである。勉強する人も個性的だし、勉強の対象も個性的である。結局、ある勉強法が自分にとって有効かどうかは、やってみなければわからないという側面がある。」

何事もうまくいかないときには、今までに試したことが無いこと、そんなことが存在していること自体を知らないことが多いもので、大抵の日本人は、中卒だろうと東大卒だろうと、「勉強」というと学校の定期試験、入学試験あるいは資格試験などなんらかの目的が生じた時にだけ、大して好きでもないことを一生懸命に暗記することなのだと勘違いも甚だしい者が多い。まずその辺の誤解を解かなければならない。

天才にとっての勉強がそんなくだらないものだけであるはずもない。天才に本当に必要な勉強とはいわゆる知的生産術のことだ。

DRAGON BALL 33 (ジャンプ・コミックス)DRAGON BALL 33 (ジャンプ・コミックス)
(1992/12/26)
鳥山 明

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P34ドラゴンボールの主人公の孫悟空とその息子の孫悟飯は、少年時代の孫悟空に滅ぼされたレットリボン軍が復讐のために開発したセルという生命体と地球の運命をかけた闘いに挑む。
地球の運命もさることながら、強くなること自体を楽しむ孫悟空は、厳しい修行を重ねに重ねついにある結論に辿り着く。それは戦いが始まるときに本気モードの超サイヤ人になるのではなく、常日頃から寝るとき以外はなるべくいつも超サイヤでいてそれがあたりまえの状態にもっていくというものであった。

これは現実世界の知的天才の世界に当てはめてみると、学校のテストや入試などがあるから仕方なく勉強するのではなく、常日頃から勉強、研究、思考しているのが当たり前の状態にもっていくということだ。常日頃というのは家や学校にいるときはもちろん、通勤通学の時、お風呂やトイレの時、食事や車の運転、靴を履いている時なども含め24時間年中無休ということだ。心肺が停止している時間が無いのと同様、天才に勉強していない時間は存在しないのだ。試験があるから今日はこの分野の勉強を一日何時間勉強しようなどという次元ではいけない。

さて、天才のための勉強がその場しのぎの単なる暗記勉強ではないということが分かったところで本題に入っていきたい。

竹中式マトリクス勉強法竹中式マトリクス勉強法
(2008/10)
竹中 平蔵

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竹中平蔵というと小泉元総理と共に構造改革を実行し日本経済を悪くした人と一般の人は思いがちだが、それは分かりやすい悪の偶像を求めているにすぎない。そもそも日本経済が尋常でないのはここ数年に限った話ではなく、それをなんとかしたいなら、既存のものとは違う新しい何かをやらなければならない。悪いのは、むしろ、新しいことをやろうとする者をみんなで叩く日本人の悪性の持病であろう。

なお、竹中氏は改革者ならではの非難を受けた時には、小伝馬町の小さな公園に行き、吉田松陰の命がけの辞世の句を見て、「現代なら決して命を奪われることはない、何と恵まれたことかと自分を奮い立たせていました。」と朝日新聞(2010年10月17日朝刊)で語っている。

その竹中氏は勉強を4つに分類している。

1「人生を戦うための武器としての勉強」で天井があるもの。受験勉強、簿記などの資格試験や英語のTOIECなど。

2「人生を戦うための武器としての勉強」で天井がないもの。仕事の専門知識、経営能力、コミュニケーション能力など。

3「人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強」で天井があるもの。武道の資格や趣味の検定など。

4「人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強」で天井がないもの。音楽や古典、教養、芸術など

天才にとってすべて重要なものだが、多くの日本人は天井がない勉強の存在すら知らない。教師も医者も天井のある試験は身を持って体験していてこれがそれなりに得意な人種でもある。そして、これが勉強のすべてだと本気で思っている。非常にたちの悪い職業病と言えるだろう。このような次元の者達が教育に関与すること自体がもはや終わっているような気もしなくはない時代なのだが、彼らの知らない天井がない勉強がアスペルガー児を天才児に変えるのである。

羽生の頭脳〈9〉激戦!横歩取り羽生の頭脳〈9〉激戦!横歩取り
(1994/09)
羽生 善治

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著者は人類史上最も将棋が強い羽生善治。野球選手のイチローと並んで日本では「天才」の代名詞的存在である。彼は将棋の盤上は個々人の人間力が問われると言われた時代を終焉させ、将棋界に理論、科学を導入した人物なのだが、本書はその将棋の技術書であり、将棋をある程度、専門的にやる人であれば誰もが読むことになっているいわば将棋界のコーランとも言える代物。その第9巻・激戦!横歩取りのはしがきにおいて羽生氏はこう述べている。

「横歩取りの面白さは、序盤戦の緊張感にある。一歩でも誤れば、いきなり敗勢に陥るというスリル。うまく研究にはまれば、一発で勝ちになるという興奮・・・あちこちの小学生大会に出ていたとき、一番得意にしていたのが、横歩取りの4五角戦法だった・・・古来から伝わるあの定跡のお蔭で、いくつ優勝カップを稼いだことだろう。将棋を指す喜びは、自分の研究が結果に結びついた瞬間にある。研究が勝ちにつながったときの喜び、それを初めて知ったのが、この横歩取り定跡によってだった。」

明鏡国語辞典によれば「研究」とは、物事を学問的に深く調べたり考えたりして、事実や理論を明らかにすることとある。そして、天才にとって、あらゆる勉強はこの「研究」とリンクしている。

羽生善治少年は将棋という競技の横歩取りという戦法の研究によって持って生まれた才能が開花したというわけだが、同様に、英才教育でなんらかの研究がなんらかの成果に結びつく喜びを経験させてあげることが、アスペルガー児を天才児へと転生させる唯一の手段なのである。

なお、将棋は高度な頭脳が要求される指折りの競技で天才児のたまり場の一つだがすべての者が将棋に喜びを見いだせるかと言えば実はそんなことはない。天才にも色々な人種がいて、勝負事が嫌いな人もたくさんいる。つまり、何事も向き不向きがある。
それに研究対象の本筋は語学、歴史、数学、自然科学、コンピューターなどの学問である。そして学問の可能性は無限大で万物が研究対象になりえる。ゴキブリやハエが嫌いなようでは生物学者が務まろうはずはないのでどんなことでも興味があることはとことん追求してみてほしい。

団塊世代 「次」の仕事団塊世代 「次」の仕事
(2006/05/11)
堺屋 太一

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著者は「団塊の世代」という言葉の生みの親でもある堺屋太一。大坂都構想という革命を掲げる政治家の橋下徹を陰で支える老獪な人物だ。本書は高齢者を対象に作られた本だが、これこそは英才教育と言える記述が出てくる。

P38で学生の頃は教科書や先生が正しく会社に勤めると会社が正しいと思わざるをえないが、高齢時代は自分が正しいと思えると説き、P41では好きを発見する方法を伝授している。

それによれば本当に好きなことと言える第一の目安は「それをして疲れないこと」。例えば、ゴルフが好きだと思っている人でも、いつも行く仲間とでなければ面白くないというのであれば、その人はゴルフが好きなのではなく、仲間との社交が好きなだけ。ゴルフが本当に好きなら知り合いのいないゴルフ場へ行って、見知らぬ人と一緒に二ラウンド回っても疲れない。また、プロの囲碁将棋の世界を例に朝10時から夜10時までかけて一局の対局ができるぐらいなら本当に好きと言えるという。
第二の目安は「そのことについてなら、誰とでも、いつでもいつまでも喋りたい、と思うこと」とある。「あいつが来たら、あのことばかり言うからうるさいね」と言われる、奥さんから「あなた、あれだけは言ってはだめです」と言われたらそれは本当に好きなこと。

これなどは現在、日本を席巻している精神医学用語の「アスペルガー」の特長そのものではないか。

もちろん、高齢者になってから英才教育を始めているようではいくつ精神病棟があっても足りないので、生まれた時から好きを追求しなくてはいけないことは言うまでもない。

秀麗秀策 (囲碁古典名局選集)秀麗秀策 (囲碁古典名局選集)
(1992/02)
福井 正明

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 福井正明
先述した羽生善治は人類で最も将棋の強い人ということで全会一致なのだが、囲碁の場合は意見が分かれる。その一人として常に名が挙げられるのが本因坊秀作。漫画ヒカルの碁にも登場した人物だ。

本書は基本的に棋譜集であり相当な囲碁の棋力がなければ楽しめない本だがP8では秀策が三、四歳の頃、どんなに泣いても碁石を与えるとすぐ泣き止み、父が叱って押し入れに入れたものの泣声が聞えなくなったので様子を見ると、しまっていた碁盤に碁石を並べて遊んでいたというエピソードが収められている。
なお、秀策の母が碁を教えたのは五歳のときで、六歳の時に商用を兼ねた父に連れられて相撲見物に向かったが、父が取り引き先の番頭と話をしている間に、秀策は石音に引かれて奥座敷に入り込んだ。碁盤の横に座って動かず、父は一人で相撲を見に行ったというが、このときの対局者の一人が、のちに秀策の終世変わらぬ後援者となった橋本吉兵衛だった。

本当に好きなこと、すわなち、自分の才能を活かせるものに巡り合えたとき、問題児は天才児に変わり、それと同時に生活態度も改善していくものだ。

もっとも、好きなことを研究するとは言え、基礎学力は必要である。日本語が読めなければ好きなことに関する本を読めない。宇宙や電気が好きでも数学ができなければそれを理解できるはずもない。技術者になったとしても英語ができなければ英論文で書いてある最新技術を知ることはできない。
だから、子供を対象にする英才教育は好きなことだけやればいいというわけではなく、それを基盤として国語、数学、理科、社会などの基礎的な勉強と相互発展させていくことが重要なのだ。

しかし、それを必ずしも学校の授業で習得する必要はない。それができれば苦労はないが、とりわけ義務教育の授業などは英才教育の視点からすればもともと低俗極まりないもので、そもそも時代の流れにより消費期限が切れた代物だから、誰のためにもなっていない。
なお、公O式などの塾は先取り教育でそれなりに有名だが、あれは何も考えずに問題を機械的に解くだけで、おおよそ知的な能力に秀でた人間のための英才教育とは言えない。将棋の羽生善治はこの塾のCMに出てしまった。第一人者として世間一般に極めて優しい羽生善治に責任は全くないが、彼の唯一の汚点と言えるかもしれない。

効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
(2007/12/14)
勝間 和代

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勝間和代は当時最年少で公認会計士の資格を取り、今ではTVでもお馴染みの経済評論家となった女性。数多くの勝間本の中でも一つ頭が抜きでいる本書ではあるが、このような類の本は参考程度にしかならず、役に立つかどうかは結局その人の才能次第だ。しかし、「知」の世界で生き抜こうと全精力をかけて戦い、そしてそのこと自体を楽しむかのような彼女の狂気とも言える熱意を感じとることは誰でもできるはずだ。それが本書からの一番の収穫かもしれない。

なお、カツマーと言われる彼女を信望する者達まで出現したが、そのほとんどは勝間和代の足元にも及ばず、仕事も結婚も中途半端という形で一生を終えていくのが現実だ。そのためか以前よりは勝間和代の株は落ちている。というよりは彼女はただのバブルだったのかもしれない。女性が仕事に熱中するのは悪いことではないが、完全に女を捨てて本気になれと言いたい。そして、もっと本気になった女性を優遇する社会でなくてはいけない。

「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)
(1993/11)
野口 悠紀雄

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超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー
(2008/09/18)
野口 悠紀雄

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クラウド「超」仕事法 スマートフォンを制する者が、未来を制するクラウド「超」仕事法 スマートフォンを制する者が、未来を制する
(2011/11/25)
野口 悠紀雄

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野口悠紀雄は日本では著名な経済学者。工学部出身の経済学者というだけあって、豊富な資料を基盤とした論理的な経済分析が持ち味。経済誌の東洋経済と週刊ダイヤモンドで同じような連載を同時に抱えているが、その著作や寄稿の量は目を見張るばかりだが、その資料との戦いの人生は凡人には中々理解されなかっただろう。

超整理法はかつて一世を風靡した本だ。その整理法とは膨大な紙の資料を分類しないでただ時間順に並べておくだけ。言われてみれば簡単だが、中々実践し発表できるものではない。何事も第一人者は偉大だ。
そして、超超整理法はデジタル時代においてグーグル社が提供する無料メールのGメールを駆使し、検索することでアナログ時代の超整理法を万全のものとした。さらに、クラウド「超」仕事法ではスマートフォンを導入し、それを一振りすると、そこにオフィスや研究室が現れるとほぼ究極のものとしている。

それにしても、グーグルと天才は相性がいいようだが、天才の人生は資料との闘いとも言える。一般の人には理解し難いだろうが、本人にとってはそれが普通のことでなによりの幸せなのである。

バーバパパのいえさがし (講談社のバーバパパえほん)バーバパパのいえさがし (講談社のバーバパパえほん)
(1975/09/18)
A・チゾン、T・ティラー 他

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バーバパパシリーズにこのような描写が存在するとは思わなかった。家を追い出されたバーバパパたちが、丘の上に自分たちの家を造る話で、7人の子供たちが各部屋に個性的な空間を作ってしまう。
子供たちの得意に応じて、生物学の部屋、本がたくさんある部屋、さらに音楽、美術の部屋と各部屋がまるでその分野の学校のような作りになっている。中でも、星好きのバーバピカリの部屋は天井に星座を描いていて、なにやら化学の薬品らしきものも拝見できるが理工系の世界をよく表現しているので、その存在すら知らない大半の親にとっては参考になると思う。

とりわけ知的な能力は、学校がその能力を育む場ではなく、住んでいる家が能力を育む場としてまず第一に機能していなくてはならない。もしそうなっていれば、必然的にこのような部屋のようになっているはずで、逆にこうなっていなければうまくいっているとは言えない。

センセイの書斎---イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫)センセイの書斎---イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫)
(2011/01/06)
内澤 旬子

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知的な才能を持って生まれた人物の部屋は当然のことながら尋常ではないことが多いわけだが、それは本になるぐらいだからやはり価値があるのだ。もちろん、知的な才能に年齢は関係ないので子供部屋がこうなってもらわないと英才教育が成功しているのか疑わしい。
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.06 2010  知的生産術 comment0 trackback0
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プロフィール

藤家孟志(ふじいえたけし)

Author:藤家孟志(ふじいえたけし)
アスペルガー問題を研究している一般の男です。

この研究を基に、アスペルガーの世界に迷い込んでしまった人を一人でも多く普通の世界に連れ戻すことができたら幸いです。

何かありましたら  fuzietake@gmail.com  までよろしくです。

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