FC2ブログ

善人が犯罪者に変わるとき

文字色近年、凶悪犯罪、とりわけ事件を起こした少年少女らがクローズアップされた時期があり、中にはアスペルガーなどの精神医学用語を用いて急増する少年による凶悪犯罪などと執拗にマスコミは煽ったが、実は昔から凶悪犯罪は普通に、しかも現在よりかなり多く存在する。もっとも、この事実は一般の人にも知られるようになってきている。

戦前の少年犯罪戦前の少年犯罪
(2007/10/30)
管賀 江留郎

商品詳細を見る


著者は管賀江留郎というちょっと変わった一般の方。現在の日本のジャーナリズムに疑問を持ち、戦前の少年による凶悪事件を図書館でくまなく調べたという。名前はもちろんペンネームだが、著者の意図は何も考えていないコメンテーターやジャーナリストを意識しての命名なのだろう。しかし、この本には論考らしきものがない。是非これからは、これらのデータを元に名前に相応しい論考を期待したい。

さて、天才はもともと犯罪に関与しやすい人間なのかと言えばもちろんそんなことはない。むしろ、天才は先天的には極端な善人であり本来なら犯罪とは無縁というより存在自体が法律や教典のようなものだ。

しかし、矛盾を抱える社会においてはいくら善人とはいえ犯罪に関与する可能性はある。とりわけ天才は日本のような均質性を求められる国では生きづらいことが多く、なにかとうまくやっていけないことも多い。そのため居場所がどこにもなく刑務所の方が居心地がよいということになり、あえて泥棒などをしてわざと逮捕されるとか、そこから世間にはほとんど知られていない医療刑務所や精神病棟に収監されてしまう事例を含めれば、厳密に調査すればもしかしたら一般の人よりも天才の犯罪率は高いのが現実かもしれない。

マスコミが提供する事件は大衆の注目を集めるための派手派手しいものばかりだから一般の人に誤ったイメージを植え付けてしまいがちだ。大衆受けするような犯罪が起こるたびに大騒ぎし、アスペルガーの犯行などともてはやすことすらあるわけだ。

しかし、実際には天才が奇抜な犯罪に関与して刑務所で過ごす確率よりも、犯罪に関与せずあるいは犯罪とは言い切れないようなことから警察を経由し、精神医学の世界で誰にも見向きされることなく一生を終える可能性の方がはるかに高いのではないか。本来なら、確率的には極めて低い奇抜な劇場型犯罪よりも、地味だが身近な精神病棟、医療刑務所などに世間の注目が集まらなければおかしいのだ。

したがって、凶悪事件を起こし、アスペルガーの診断を受けた、あるいはそれに準ずる少年少女達を細かに調べたところでさほど意味はないのだが、一昔前に精神医学用語を奇抜な少年犯罪に用いることが流行した事実は存在する。(今後、研究していく可能性はあります。)

さて、ここからは天才と犯罪の表現の手段としてのフィクションをいくつか紹介するがそこには論理的な動機が存在する。(ネタバレあり)現実世界においても犯人に問答無用の厳罰化を求めることが世界標準だが、そろそろ性悪説の立場から性善説の立場に切り替えて、その動機を賞味期限の切れた制度の改善への一つのヒントにする勇気を持つべきではないか。罪を犯す者は生まれながらに悪い奴だというのはラクだが、犯人の気持ちを理解するのは並大抵のことではない。

病む月病む月
(1998/10/26)
唯川 恵

商品詳細を見る

本書の著者は唯川恵。恋愛小説のマンネリ化をホラー色を含ませることで差別化を図った直木賞作家として知られる。著者の生まれ故郷の金沢を舞台に十人の女性を主人公とした十編のちょっと怖い話が収まっているがその一つの「過去が届く午後」は才能を発揮できずに不遇の人生を送った者の怨念が見事に描かれている。

有子の元に画集と手紙が送られてくる。元同僚の真粧美からだ。「仕事の成功は人を変えるのですね。あなたから借りていた画集のことを思い出しました。今さらですが、お返しします。」
有子は自身が手掛けていた化粧品のパッケージがデザイン賞を受け、お祝いのパーティには真粧美も来ていたのだ。同じデザイン事務所にいた頃、二人はとても仲が良かったが、都会育ちで美人の真粧美は有子より格段の才能と実力があった。しかし、真粧美は現在、田舎で専業主婦をしている。

次に送られてきたのはスカーフだった。手紙には、当時の上司の忠告を聞いておけばよかったなどの後悔を示す内容もある。
次はストッキング。広告代理店との打ち合わせの際、伝染してしまったとき有子から借りたという。「当時は、先輩に有子はいいお嫁さんで、私はキャリアウーマンがお似合いと言っていたわね。最近、怖いくらいあの頃の記憶が蘇るんです」などと手紙に書いてある。
それからもタクシー代、生理用ナプキン、ヘアピン、ティッシュなど次々と覚えていないような些細なものまで送られてくるようになる。腐敗したサンドイッチが届いたときに有子は真粧美に連絡を取ることを決めた。

電話の先で真粧美が「私たち、いるべき場所を間違えてしまったんじゃないかしら」などと言われ、当時仲の良かった現在の真粧美の夫である秀之に代わってもらった。三人は仕事を通じて親しくなり、当時、有子は秀之を真粧美に取られたくないとあいまいながらそう思っていた。しかし、ある偶然も重なり、真粧美は仕事を辞め秀之と結婚したのだった。

最後の荷物が届いたがその中身は・・・・という話である。

デザイナーという職業は才能のある者が集まることは確かだが、この世界自体が科学の世界やアスリートの世界のように白黒はっきりした世界とは言えない。素人の感情が織り込まれたり、実力ではどうにもならないような時勢の波に飲み込まれることもあるだろう。現実世界ではここまでのことは起きないが、デザイナーとして実力が発揮できずに苦しむ者はかなり多いだろう。

なお、この小説を原作として、フジテレビの「世にも奇妙な物語」で有子を松田聖子が演じている。内容はほぼ同じだ。

ベルセルク 7ベルセルク 7
(2007/07)
三浦 建太郎

商品詳細を見る

ベルセルクという人気漫画にも、ちょっと変わった女の子が親から受けた虐待がきっかけで大人達に復讐をする物語が登場する。

主人公のガッツと盗賊に襲われていたある村のジルという女の子が出会う場面からスタートする。まもなく、その村を霧の谷の妖精たちが強襲するが、その女王を昔の幼馴染と悟ったジルが女王を止めに入る。その後、ガッツとジルは霧の谷に向かう。
女王のロシーヌは昔からある妖精のおとぎ話が好きだったという。それは病気の赤ん坊を妖精に頼んで治してもらう代わりに赤い目ととがった耳を持った姿になってしまい、人間にも妖精にも属さず居場所がなくなってしまうという物語でロシーヌは「私はその妖精と同じなんだ」と言っていたという。
P189からロシーヌについての記述がある。ロシーヌは少し変わった子で男の子みたいに森や川で遊ぶのが好きだった。虫や小さな動物を捕まえては私に自慢して男の子が宝物にする様なガラクタをたくさん持ってた。ロシーヌは家に帰るのを拒んでいた。ロシーヌの母は戦に巻き込まれ襲われた経歴を持ち、父は「本当にあの娘はオレの娘なのか」と母、ロシーヌに暴力を振るっていたのだ。
そして、ある日、ロシーヌは霧の谷の妖精の国に行くといって、ロシーヌに宝物を全部あげて家出してしまう。その数日後にロシーヌの両親もいなくなってしまう。

そして、ガッツと魔物の妖精へと転生したロシーヌとの死闘が始まるのだが、冒頭に出てきた盗賊が魔物となって霧の谷の入口の門番を務めている。「子供達をキズつけるヤツはここから先誰ひとり行かせやしねえ」とロシーヌにより魔物に転生させられた盗賊は発言しているが、このあたり、大人の愛情に飢えるロシーヌの狂気とも言える執念が伝わってくる。

最後はガッツに敗れたロシーヌが「いなかった」と何日も待ったが本当は妖精を信じてたわけじゃないと告白し、家出した霧の谷に両親が迎えにくる回想シーンが出てくる。そこでは期待していた言葉をかけてもらうどころか、「これ以上オレに恥をかかせるな、血のつながらないオレへのあてつけなのか」と殴られ、絶望する。その後まもなく両親の命と引き換えに魔物の妖精へと転生してしまうのだ。物事に無料はなく必ず代償を伴う。

ベルセルクはホラーバトルモノでありかつ少年誌のものではないのでかなり描写はエグイ。また、ロシーヌの直接的な能力が反映されているわけでもないが、ちょっと変わった子が社会の不条理に巻き込まれるとそのスケールは時として凄まじいものとなり社会を震撼させることがあることをうまく表現している。

香港国際警察 NEW POLICE STORY コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD]香港国際警察 NEW POLICE STORY コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD]
(2005/08/26)
ジャッキー・チェン、ニコラス・ツェー 他

商品詳細を見る

なぜか大半の日本人に知られているジャッキーチェンの代表作ポリスストーリーの2004年版。ジャッキー自ら、今までの作品とは違う新感覚の映画と自賛するように、本業のアクションだけでなく社会問題を織り込んだものに仕上がっている。なぜか?
それは端的に言えばジャッキーが高齢のためアクションだけでは勝負できなくなってきたからだ。その代償を社会問題に求めたわけだが、これは特別なことではなく、才能を有するものはその代償として性格が悪いといった具合に日常生活によく登場する概念なので、これが普通の感覚になってほしい。

DVDの54分の所で、警察官をターゲットにした事件の主犯の家族状況が明らかになる。

父親「まだ家を覚えてたのか?妻を管理できなくては警視正の職は務まらん。」
母親「あなたはクズよたかが警官だわ。父のコネで出世したのよ」
父親「うちの息子こそグズだ。お前が甘やかした」
母親「あなたはただ殴るだけだわ」

子供部屋にて
父親「時計を見ろ。今何時だと思ってる。ネットと浪費が趣味か?警視正である私の面汚しだぞ。自分を見てみろ。私とは大違いなグータラだ。クズ息子。」
母親「ジョー気にしないで。仕事を休んでいいのよ。お金をあげる。何でも好きなことをやって。」

その後、少年時代に父親から虐待を受けるシーンも流れるが、とにかく、親がこのような状況では子供は普通には育つわけがない。そして、時に、それは凶悪な事件になる。そして、こうした犯人には才人が多いようだ。

この映画は、この主犯と親が海運王や経営者などお金持ちの子息達によって引き起こされた事件として描かれている。急速な経済成長で躍動する中国だが、こうした社会問題が代償となることはどこの国も変わらない。

幽・遊・白書 13 (ジャンプ・コミックス)幽・遊・白書 13 (ジャンプ・コミックス)
(1993/08/04)
冨樫 義博

商品詳細を見る

幽・遊・白書 14 (ジャンプ・コミックス)
幽・遊・白書 14 (ジャンプ・コミックス)
(1993/10/04)
冨樫 義博

商品詳細を見る

幽遊白書という一昔前の大人気妖怪バトル漫画がある。少年誌に掲載していいのかどうかは別とすれば著者の冨樫義博の凝りに凝ったストーリーと複雑な心理描写には誰もが舌を巻く。なお、冨樫氏はハンターハンターの著者でもあるが、それが不定期連載であることからも、クセ者でなければ務まろうはずがない漫画家の世界でも異質な存在と言っていいだろう。

その第13巻のP51では、主人公の浦飯幽助のライバルである戸愚呂が仲間と弟子を殺され、その後復讐を果たし妖怪へと転生する秘話が出てくる。戸愚呂は強さを求め続けるだけの冷酷な男ではなく、過去の罪の意識に苦しみ続ける純粋な男だったのだ。

生まれながらに悪人が存在するのではなく、悪の力を借りねばならない何かが存在するだけなのだ。

また、第14巻の後半では同じく浦飯幽助のライバル仙水の過去は壮絶だ。生まれた時から強い霊力を持っていた故に子供の頃から邪霊や妖怪に命を狙われ続けながら生きてきた。もの心ついた時から妖怪は自分の敵そして人間の敵だった。その後、霊界探偵として人間のために活躍していた仙水だが、「人間は生きる価値があるのだろうか、守るほどの価値があるのだろうか」と言って姿を消してしまう。正義感が強く度が過ぎるほど潔癖で融通が利かないところもあった仙水は、人間が欲望のままに妖怪を喰いものにしている光景に遭遇してしまったのだ。自分の持っていた価値観が180度変わってしまった仙水は人間すべてに罪の償いを求めるようになってしまった。

一般的に、生まれながらの能力の大きい者は成功も失敗もスケールが大きい。そして、その現実から逃げないことが周囲の人間には求められる。決して、能力を否定したり、無関心であってはいけない。

ここからは理系分野の天才の暴走を紹介する。科学者による科学力を使った暴走はフィクションの世界でしかありえないと言えるが、アスペルガーの診断を受けるような問題児は理系、とりわけ理工系分野に秀でた能力を持つことが大半なので参考にして欲しい。
GetBackers奪還屋 (10) (少年マガジンコミックス)GetBackers奪還屋 (10) (少年マガジンコミックス)
(2001/03/14)
青樹 佑夜、綾峰 欄人 他

商品詳細を見る


ゲットバッカーズ第10巻の後半には、理工系天才少年マクベスが低俗なクラスメートに嫌気が指し爆発してしまうシーンが出てくる。

ある1人の生徒を集団でいじめるクラスメート達を見て、

「すごくイライラする なんでコイツらこんなことしてオモシロイんだ? なんでヘラヘラ笑ってんだ? ナンデコイツラソンナコトガ言エルンダ・・・お前らみんな消えちまえ!!」

基本的に天才は弱者をいじめるようなことはまずないが、いじめの被害者になる場合は多く、そういった低俗なことに絶望し憤慨することもよくある。

本書は仲間がいなくなってしまった寂しさからマクベスが核武装を計画し「昔に戻せ」と核交渉に持ち込むという
「無限城IL奪還作戦」のクライマックスにあたる。
マクベスの名は彼の驚異的な頭脳に、「頭脳の怪物」と畏怖を感じた者達が、苗字の間久部に「未知」を表すXを付けたものであり、孤独な経験をすることが多い立場のようだが、本作品では正体は明らかにされていない。マクベスの天才ぶりが随所に出てくるので理工系天才少年のイメージは伝わると思う。

インビジブル [DVD]インビジブル [DVD]
(2008/07/16)
エリザベス・シュー、ジョシュ・ブローリン 他

商品詳細を見る

天才科学者セバスチャンが生物の透明化後の復元の原子安定に関してひらめくシーンから始まる。

この時のセバスチャンの自宅の天井には「YOU SHOULD BE WORKING(しっかり働け)」と張ってあり、ひらめいたのは深夜であった。また、ひらめいた直後に同じ研究チームのリンダとマットは一緒に寝ているところをセバスチャンに召集をかけられ起こされている。寝る時間を惜しんで努力する天才と男女の関係を愉しむ凡人の違いが如実に表現されている。

動物実験にも成功したがその後のセバスチャンとリンダのやり取りも興味深い。

セバスチャン「人生の目標を達成して気が抜けたんだ。マットは地道に分析するだろうが俺には派手な脚光が必要なんだ。凡人とは合わない。」
リンダ「私も凡人だったのね。あなたは天才で私はただの脇役。」

セバスチャンとリンダは元恋人同士。リンダはセバスチャンの才能を確信した冷徹な性格が嫌で、俗な愛情のあるマットと付き合いだしたわけだ。なお、セバスチャンは自らを省みることなくリンダに復縁を迫っている。

もっとも、リンダも才能の違いが分からないレベルではなく、マットもセバスチャンの才能を全面的に認めている。
マット「彼が恋しいか?かなわないからさ。」
リンダ「セバスチャンの考えはかなり魅力的よ。本人よりはずっと。」

マット「天才はBとCを抜いてAからDに飛ぶと。セバスチャンがそうだ。僕はBとCで突っかかってる。」なお、セバスチャンはマットがここまでやってこれたのは自身のおかげだと思っている。

また、このプロジェクトは米国国防総省のものであったが、自分の夢を政府に奪われたくないがために成功をあえて隠し極秘でさらなる飛躍をセバスチャンは求めるのだが、その際、高官にこう言われる。
「一年生のころから君の才能は光っていたが委員会は君を甘やかした。君の奇行や秘密主義に目をつぶってきたが、我々の忍耐もそろそろ限界だ。」

主人公の才能、個性がここでも強調されているわけだが、その後、セバスチャン自身の透明化には成功したものの復元には至らず、兼ねてからの周囲との関係上のストレスとも重なり、不満は頂点に達し暴走する。

何か才能が無いとやっていけないような米国においてさえも、天才の扱いに失敗し、四苦八苦、右往左往する凡人がテーマの脚本が存在すること自体が意外だ。

ウェルズの透明人間を原作とし、ラブストーリーともハリウッドお約束のアクション映画とも受け取れる作品だが、いずれにせよ、天才とそうでない人のやつれた関係を念頭において拝見してほしい。
DRAGON BALL THE MOVIES #02 ドラゴンボールZ この世で一番強いヤツ [DVD]DRAGON BALL THE MOVIES #02 ドラゴンボールZ この世で一番強いヤツ [DVD]
(2008/08/08)
野沢雅子、田中真弓 他

商品詳細を見る

自然災害によって死んだはずの二人の科学者。時は流れ、脳だけは生き延びたDrウィローは、Drコーチンと神龍によって蘇り、この世で一番強い者を自身の体にして人類を支配しようと企てた。そこにピックアップされたのが亀仙人(孫悟空の師匠)。しかし、それは50年も前の話で現在では孫悟空が最も強いことを知り、その体を求めて孫悟空と闘う。

かつてDrウィローは変人扱いされ、自分を決して認めようとせず徹底的に葬り去った人間を恨んでいたのだ。Drウィローが排除されていく過程の詳細は定かではなく、ブルマ(悟空の仲間でドラゴンレーダーを開発した女科学者)との簡単なやり取りで明かしている程度だが、この二人の科学者が才能を認められずに排除されたという意識を抱き暴走していることは確かだ。

SFの中の科学者としては古典的とも言えるパターンかもしれないが、天才科学者が怒るのにも必ず理由があることは分かってもらえると思う。

古畑任三郎 2nd season 2 [DVD]古畑任三郎 2nd season 2 [DVD]
(2004/04/21)
田村正和、西村雅彦 他

商品詳細を見る

木村卓也演じる若い男が時限爆弾を製造し近所の遊園地の観覧車にそれを仕掛けるシーンから始まる。その途中、警備員に自転車の登録番号を調べられ殺害してしまう。
翌日、田村正和演じる主人公の古畑警部補が登場する。警察に時限爆弾の解体作業の件で呼び出された犯人の矛盾を暴き、最後は犯人を追い詰めた後、赤の銅線を切るか青の銅線を切るかでかなり盛り上げてくれる。

もちろん、そのあたりを楽しむことは結構だが、犯人の動機、言い分も聞いてあげてほしい。研究室からいつも眺めていた時計台が観覧車で見えなくなってしまったという。これが爆弾を仕掛けた動機だ。

古畑はこの動機を知った後、犯人を逆平手打ちを浴びせているが、これは非常に重要な動機だ。というのも、天才には多くの場合、一般の人には理解できないような独特の生活リズムがある。それは自分の才能を発揮させるために不可欠なリズムなのである。犯人は電子工学を専門として近所に研究室を構え天神大学の研究助手でウチの大学で僕より詳しい(爆弾に関して)人間はいないと発言しているが、この犯人は研究の合間に時計台を見るのが持って生まれた才能を発揮するためのリズムの一環だったのであろう。
ちなみに主人公の古畑は機械が苦手のようだが、十分すぎるほどの変人という設定になっているにも関わらず、犯人の気持ちを無視するのはいかがなものか。ジャンルは違っても変人同士なのだから少なくとも全く理解できないわけではないだろう。

観覧車のように生きていくのに絶対に必要というものでなくても、一旦建設してしまえばそれをどかしたり解体するのは困難になることは現実世界でも十分にありうる。
日本の土地利用はかなりいい加減なものになっていて、さすがに大学の近くに遊園地を建設することはないかもしれないが、各個人がそれぞれ好きな主張をしてその土地の風土よりエゴを優先していことは否めない。そこから騒音トラブルなど様々な問題が噴出し続けていて、お世辞にも天才の知的好奇心を尊重している態度とは言えない。

この作品はそれを風刺していると捉えてもらいたい。

ガリレオ DVD-BOXガリレオ DVD-BOX
(2008/06/13)
福山雅治、柴咲コウ 他

商品詳細を見る

ガリレオは福山雅治演じる天才物理学者・湯川が女性刑事から依頼を受けて科学の力で事件を解決していくという推理モノ作品。単品では売っていないのでそれなりにお金に余裕のある人でないとDVDを買うことはできないだろうが、すべての作品で、湯川の言動は終始一貫して、一般世界とは一線を画する科学者らしく本質を突くものが多いのでそのあたりを意識すればそれなりの教材になるかもしれない。

その作品の中でも、SMAPの香取慎吾演じる大学院研究生の完全犯罪計画を暴いていくストーリーは英才教育を考える上でなかなか考えさせられるものだった。

犯人は湯川の講演を聞くなど湯川に興味があり、湯川も犯人の論文を読んだことがありとてもよくできていると評価し、後に二人で会合することになる。

その際、湯川に将来を問われた犯人はこう答えている。戦争は永遠になくならないから絶対に職には困らず、将来は軍事産業に進んでハリケーンや地震を起こす兵器など誰も想像しないような兵器を考えたいという犯人。
これに対して湯川は「結果には必ず原因がある。自然に起こったように見える現象が実は人為的な力を加えた結果だという考えは非論理的ではない。」と冷静にいつものように対応する。
犯人は「驚いたな。こんな話にのってくれるのは湯川先生ぐらいですよ。嬉しいな。」と子供のように無邪気な笑顔で答えている。

犯人は水中にいる人間を心臓麻痺させる技術を独自に開発するものの、被害者の皮膚がわずかに壊死してしまうことから足が付く。最後は湯川にモラルの説法ではなく、あくまで技術面、あざを残さないやり方の改善策を見せられ自供に至る。

犯人は日本では優秀な科学者は評価されないということを意識し、子供の頃はアニメおたくだったと述べているだけでそのほかの情報はないが、自分の能力を活かしてお金を稼ぎたいという気概がとても強く日本の科学者の扱いに不満があることは確かだ。また、天才物理学者湯川に心をときめかせる様子から、子供の頃から自分の能力を試したいと思っていたが、その場がなく、その結果、歪んだことを考えるようになったと捉えるべきだろう。

それから、この二人のようなイケメンは科学、とりわけ物理学の世界にはまず存在しないので俗な期待は抱かない方がよいだろう。

相棒season4下 (朝日文庫)相棒season4下 (朝日文庫)
(2009/02/20)
輿水 泰弘、碇 卯人 他

商品詳細を見る


相棒 season 4 DVD-BOX 2(6枚組)相棒 season 4 DVD-BOX 2(6枚組)
(2007/12/07)
水谷豊、寺脇康文 他

商品詳細を見る

最後は科学者ではないが鉄道マニアによる現実世界でも十分ありえそうな突発的な犯罪。説明するまでもないだろうが、「相棒」は水谷豊が演じる警視庁一の変わり者の杉下右京が事件を解決していくというもの。ちなみに杉下は徹底した変人役だが東大法学部出身ということになっていて科学者ではない。
そのシーズンⅣ第15話「殺人セレブ」は相棒らしい捻った脚本で最後の最後でどんでん返しが起こる。しかも、タイトルに「殺人セレブ」と付けているところがいかにも徹底している。
なお、この犯人役の俳優さんの名前を知る者はまずいないのだろうが、いかにも鉄道マニアらしい風貌で相棒らしく中身にこだわっている様子も窺える。

このような突発的な事故、事件の予防策としては、夫の立場からすれば自分の趣味は自分の部屋だけに限定したり、自分の趣味だけではなく時間を作って家族サービスをすることを心がけ、妻としてはそれは生活のリズムとして必要なものだと理解してあげることが重要だ。話し合いが必要なことは言うまでもない。もちろん、女性でもコレクターはいるのでその逆も十分ありえる。

この物語のように、例え普通の人から見れば全く価値がないようなものでも本人にとってはとても重要なものということもよくあり、無断で売ったり、捨ててしまったりするのはもってのほかだ。天才は価値があるとは思えない変わったものを収集することがよくある。

周囲の者が十分理解し、円満な家庭環境を築いてほしい。
スポンサーサイト



.23 2010  犯罪 comment0 trackback0
 HOME 

プロフィール

藤家孟志(ふじいえたけし)

Author:藤家孟志(ふじいえたけし)
アスペルガー問題を研究している一般の男です。

この研究を基に、アスペルガーの世界に迷い込んでしまった人を一人でも多く普通の世界に連れ戻すことができたら幸いです。

何かありましたら  fuzietake@gmail.com  までよろしくです。

カウンター

検索フォーム